桂枝雀の「うなぎや」

桂枝雀の「うなぎや」
「いよいよや」
「いよいよやけどやで、え」
「何や」
「いや違うがな。まあお天道さん高ーいうちから出かけてんねん、大阪玉造行け、
松島行け、萩の茶屋行けて、あっちこっち行きたおしておいて、もうぼちぼちお日さ
ん沈みかけているねで。道頓堀もう明かり入りかけてんねやないか。おなか、もう余計
のことぺコぺコに減ったあんねん。そやけどまあ、明かりの入った道頓掘で飲まし
てくれるのありがたいな思いながらついていった。はじめ出雲屋の前通ったんや
「出雲屋、うなぎ屋や」
「うなっぎやー、えー、嬉しいで、おい。蒲焼で一杯飲ましてくれんねん。ありがた
いなあと思ってたら、出雲屋の前、知らあーん顔して通んねん」
「出雲屋と違たんかい」
「違たんやな、と思て。あはあんと思てたら、次何の前通りかかったかな。な、あの
井筒のうどん屋の前、うどんで一杯飲ましてくれよんねん、うどんも洒落たあるわい。
ね、東京辺りではそぱで一杯ちゅうけど、うどんで一杯も洒落たあるわい。おー
、井筒へ入りよんねんなと思うと、井筒の前も知らーん顔して通んねん。うどんと
も違たんやな思いながら歩いてると、次、なんやで、柴藤の前通りかかったで」
「嬉しやないかい。向こうは出雲屋と違て、また上等のうなぎ屋や」

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